今回は、気になっているベンチャー企業を紹介していきたいと思います。
第一弾は、カミーノという会社です。
https://ca-mi-no.jp/bioplastic-products/
事業概要:
紙や植物由来生分解性プラスチックを原料とした環境配慮型素材や製品の開発している会社です。
事業背景:
・海洋プラスチックの増大を受けた脱プラスチックの世界的な潮流
・欧州では2021年までに使い捨てプラスチック製品や石油由来の酸化型生分解性(オキソ)プラスチック製品の利用が禁止され、リユースやリサイクル可能な紙製品や植物由来生分解性プラスチック製品などへの移行が進行
・日本ではこうした流れはまだまだ欧州に比べ遅れている
・そんな中、植物由来生分解性プラスチックを利用した素材の開発を実施
製品:
・紙と植物由来生分解性プラスチックからできた硬質プラスチック素材
(最終処分時には粉砕し、再度ペレット化することで(リペレット)、新しい製品として生まれ変わることが可能。また、使い捨て用途の場合でも、堆肥化設備ないし微生物の多い土中に埋めることで水と二酸化炭素に生分解される)
所感:
・植物由来生分解性プラスチックは、世界中の化学メーカーで研究が進められています。生分解性プラスチックには、PLA(ポリ乳酸)やPBAT(ポリブチレンアジペートテレフタレート)などがありますが、いずれも最終的に水と二酸化炭素に分解可能です。
日本の大手化学メーカーでも生分解性プラスチックの研究が進められていますが、こうしたベンチャー企業が生分解性プラスチックに取り組み、循環型サプライチェーンを構築し技術を社会実装していくのは非常にワクワクします。
資源ロスの少ない形で生分解性プラスチックを作っていけるかは非常に大きなテーマですが、ベンチャーでもこうしたテーマに取り組む気概に勇気が湧いてきます。
また、原爆ドームの折り鶴を加工した製品なども生み出しており、着眼点が非常に面白いなと思いました。
ここで生分解性プラスチックについて。
※やや紛らわしいですが、生分解性プラスチックとバイオマスプラスチックは別物です。
「生分解性プラスチック」=通常のプラスチックと同様の耐久性を持ち、使用後は自然界に存在する微生物の働きで最終的にCO2と水にまで完全に分解されるプラスチックのこと
「バイオマスプラスチック」=再生可能なバイオマス資源を原料として、化学的または生物学的に合成することにより得られるプラスチックのこと
「生分解性」の課題としては、裏を返せば「物性の安定性を落とす」ことであり、従来のプラスチックは、物性の安定性に優れるが生分解性は低い一方、生分解性プラスチックは物性の安定性が低いことがあります。
石油化学により製造された生分解性プラスチックであれば、分解後は石油や天然ガス由来のCO2が大気中に放出されることになるため好ましくありません。
そのため、バイオマス(植物、細胞・微生物など)由来の生分解性プラスチックの研究開発が進められています。